運命の人~あなたがいたから~
存在
家に帰り 私は父と母に 「ダンスやりたい!」とお願いをした

父と母は最初は驚いていたものの 兄の助言もあり

ダンスを習う事を許してくれた

「お兄ちゃん 明日も行っていい?」

「おーやる気満々だな。さてナオをそこまでやる気にさせたのは一体何かな?」

何かに勘付いた兄が怪しい笑顔で聞く

「はっ?ダンスが楽しかったからに決まってんじゃん」

「ふーん そう まっ良いけど でも今月中は 次のステージの練習が
 続くから ナオに教えてやれないかもしれないぞ」

「それでも良いよ みんなのダンスを見れるだけでも」


「みんなのねー。」

「何その言い方」

「いや別にー じゃあ明日学校が終わったら スタジオにおいで。
 一人で来れるか?」

「うん 大丈夫」

「よし!ならお風呂入って今日は早く寝なさい」

「うん わかった ありがと!!」

「リュウヤにもナオが来るって伝えとくよ」

「えぇっ!余計な事言わなくて良いって!!」

「ハハハッ」

不思議だった・・

あれだけ忘れられなかった彼を こんなに簡単に忘れられるなんて

それにリュウヤさん・・・

食事中も お風呂に入っても 寝る時も

彼の事が頭から離れなかった

彼のダンス 彼の優しい声 彼の手のあたたかさ

彼の事を想うだけで 心がとても暖かくなる

頑張れる力が湧いてくる

彼のダンスをまた見たい・・・

自分より9才も年上の彼・・・

きっと私の事は ダンス仲間の妹という小さな 小さな存在なはず

それでもいい 彼が好きな事を私も好きになりたい

彼が追う夢を私も追いかけてみたい

頑張って 頑張って 少しでも彼の近くへ
  
この日から 私の中で彼の存在は 誰よりも大きくなっていった

その存在が 数年後 自分を苦しめるとも知らずに・・・
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