小悪魔な唇【密フェチ】


「ん?」


雑誌を見ていた彼は、私の視線に気付いて小首を傾げた。瞳は穏やかで、肉厚な唇は微笑を浮かべている。

この様子だと聞こえていないみたい。


「ううん、何でもないよ」


私は大袈裟に首を振った。彼は少しだけ笑って、赤い唇から白い歯を覗かせた。

そのコントラストがまた私の欲求を刺激する。


「そう」


軽く相槌を返してくれた彼は、雑誌を閉じてテーブルに置いてしまった。


いつもならそのまま雑誌を見続けるのに。


どうしたのかとオロオロしていると、彼が身体をこちらに向け、顎をグイと持ち上げられた。


「駄目だよ、素直に言わなくちゃ」

「え……あっ」


制止する間もなく、性急に重ねられる唇。肉厚なそれが貪るように私の唇を食んでいく。

いつもの彼からは考えられない、呼吸さえも奪われるようなキスに体の芯が熱くなった。

離れた唇はてらてらと濡れていて、今までになく妖艶。


「こういうキスがしたいんでしょ」


彼の唇が小悪魔に笑った。




【fin】

< 3 / 3 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:17

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

俺だけのもの~一途な御曹司のほとばしる独占愛
  • 書籍化作品
[原題]お試し愛

総文字数/78,617

恋愛(純愛)123ページ

表紙を見る
クールな社長の耽溺ジェラシー
  • 書籍化作品
[原題]クールな社長とロマンスはじめました!

総文字数/111,596

恋愛(純愛)172ページ

表紙を見る
【ベリーズ男子・全話購入者特典】キミは許婚

総文字数/12,516

恋愛(その他)14ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop