『若恋』若恋編

｢待ち伏せされた！｣



仁お兄ちゃんが携帯を開きすぐに叫ぶ。



｢榊を援護しろ！りおを逃がす！｣



ドン！


何かがスピードを上げた車の前に現れてぶつかった。



｢なに？｣

｢見るな!!｣

フロントガラスには弾けた血の痕が…

｢見るなって言ってるだろ！｣



｢ひと…｣

ひとを跳ねたの？

｢やらなきゃ殺られちまうだけだからな！｣



バキン！

わたしの横の窓ガラスに何かがあたり跳ね返った音がした。



｢くそっ、こっちにも張ってやがった!!｣

防弾ガラスにまたキンと金属音が跳ねる。



｢仕方ねえ。つかまってろりお！｣

仁お兄ちゃんが舌打ちしたと思ったらドリフトで車が回転した。