『若恋』若恋編
緋色に染まる




「12時にお嬢さんを連れ出した後に迎えに参ります」


丸井がそう言い残してから、時が過ぎ、腕時計の針は1時を回った。


龍神会幹部の丸井でも拐ってきた娘を逃がすのは容易ではなかったのかもしれない。

失敗だったのか?

いや、失敗は許されない。

俺は丸井を信じてる!



ドアが開くのを何もない空間で、ただ白い壁に囲まれた部屋で迎えを待つ。




―――大丈夫だ



丸井が命を掛けて助け出してくれると確信してる。



1時を過ぎ、街の灯りが徐々に消えていく中、突然の銃声が響いた。


「な?」


ドアに飛び付き扉を叩く。


助け出すのに失敗か!?



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