『若恋』若恋編




『わたしたちにナニか用事でもアリマシタカ?』

ふたりは怪訝な表情だった。



『わたし聞いてしまったんです』



静かで凛としたりおの声が響き、次の瞬間には勘の鋭い桐花が弾かれたように立ち上がった。




「若!」

「待て。まだ様子を見る」

冷や汗がこめかみを伝う。
りおが言い出したことにやろうとしてることに水を差したくはなかった。
りおの元へ走り出しそうになる仁の二の腕を掴んだ。




『ええ、聞いちゃったんです。偶然に』


りおが真実を話し出すと、カメラに映し出される彼女らの微笑んでいた顔が一気に崩れた。

手が震えてる。

ドキンドキンとふたりの心臓の音まで聞こえてきそうな気がした。



「若、りおが!」

「待て!まだ動くな!!」

冷たい汗が吹き出る。

全身が凍りつく。


あと一瞬で勝負が決まる!



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