鮮やかに青いままで

曇天の下、グラウンドにて、彼と。

「おはよっ」




翌朝、綾桧はいつものように昨日別れた曲がり角で俺を待っていた。





「…寝ぐせが」



俺の『おはよう』を遮るようにこちらへ一歩近付き、右手で俺の髪をくしくしっと掻く。

触れ合いそうな距離、という程ではなかったが、近いところに綾桧の顔が、

髪が、瞳が、







…唇があった。
俺はそのどれも見られず、ただ視線を宙に泳がせていた。




「…よし、これで今日もいい男!」


最後に俺の頭をぽんっと叩き、くるっと向き直って歩き出す綾桧。


いつもなら『お前はいつもいい女だよ』なんて軽口を叩いてからかってやるところなのだが、今日はそれも出来ず、俺は綾桧に急かされるまでその場に突っ立っていた。
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