ひだまり

1章

教室の窓際の一番後ろ。
何ともいいポジションに座るのは私、吉永日波。


この霞ヶ丘高校に1ヶ月前に入学したばかり。
入学当初はピカピカの制服を着るだけでウキウキしていたが、制服も皺が増えてきて、もう慣れてしまった。

高校なんて単純で、1ヶ月もすればグループなんてできている。
だからこの1ヶ月で乗り遅れた者はもうグループには入れなくて、お昼や移動教室なんかは全て1人で行動することになる。


私はというと…

「ひーなーみー!飯食おー!」



もちろん、グループに所属している。
しかもクラスで一番目立つグループだ。

「うん。食べよー」


私は鞄にしまってあるお弁当を取り出すと、呼び出した人たちの元へ向かう。



茶髪だらけの軍団に私は入る。
机には流行の雑誌にコスメが散らかっている。


そういう私の髪の色は明るい茶色。
濃いチークにアイライナー、グロスはもちろん、つけまつげまでしていた。

「てか聞いてよー。この前初めて彼氏とラブホ行ったの」


「え、早くない?先週付き合ったばっかじゃなかった?」


「綾奈、ほんとやること早いね」


みんな化粧を直したり、お弁当をつまんだりしながら女子高生らしい会話を楽しんでいる。
私はそれを笑顔で聞くだけ。


「てか、日波。あんた、最近相沢くんに冷たいんだって?」



「えっ?」

いきなり話題を振られて手を止める。


「相沢くんから相談受けたのー。なんでメールとか無視ってんの?」


相沢巧也。
それは私の彼氏の名前。


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