俺様教師の甘い罠




「 本、読みたくなったら
  いつでも来い 」




その一言と、先生の柔らかい表情に
頷きながら鍵をポケットに入れた。




先生はきっと、あの時
私に気付いてなかっただろうけど、




「 じゃあ、帰りますね 」


「 気をつけて帰れよ 」




”あの時からずっと先生が
  好きだった”なんて




喉まで出かかった言葉を
飲み込んで、代わりに
”さようなら”を言って
私は書庫から出て、
玄関へ足を向けた。




< 22 / 216 >

この作品をシェア

pagetop