水仙
序章
ふと、目を覚ますと、そこには見慣れぬ景色が漂っていた。

「ここは、どこだ・・・」

声を発することなくあたりを見渡していた。どうやら自分の知っている場所ではないようだ。

不意に風が吹いたように思われた、ボクは必死にその方向をさがした

「あ・・・」

どうやら窓が少し開いていたようだ。しかし、そんなことは、目にもくれず見入ったものがあった。

水仙の花

小さな花瓶に一輪だけ挿してあった。花を見ると心が安らぐ。これはもう何年も昔からそうだった。

花瓶に細く綺麗な手が差し出された。

「だれかいるのか・・・」

どうやら女性のようだ、年齢は17,8といったところか、ボクよりも少し年上かな。

女性は花瓶を持って視界から消え去った。

水仙が消えて世界が広がったように感じた。電子音なんかも聞こえる。

「そうか・・・」

心を揺らしながらまた、意識が飛んでいくのがわかる気がした。
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