右手に剣を、左手に君を



校門を出ようとした時……。


雅が、あるものに気付いた。


グランドのすみ。


並んで植えられた桜の木の下に、生徒が三人いたのを。



「……あれは、なんだろう」


「ん?あっ、野田なのだ」


「健太郎……もうそれは良いから……」



そう、健太郎の言う通り。


もう午後の授業は始まっているというのに。


野田が、二人の生徒に囲まれていた。


二人とも見覚えがある。


米倉と、尾野だ。



「意外な組み合わせだねぇ……」



渚のセリフに、全員同意した。


友達は多くなさそうだが、どちらかというと華やかな二人。


野田といる姿に、すごく違和感がある。



「イジメられてんのかな?」



健太郎が、身を乗り出す。


しかし、そんな様子はなかった。


三人はすぐに、バラバラに教室の方へ向かった。



「なんだったんだ……?」


「さぁ……想像もつかないな」


「もー良いじゃん、野田なんかほっとこうぜ。

早くババ様のところに帰らなきゃ」



そりゃそうだ。


ついさっき、大変な事が起こったばかりなのだ。


俺達は住吉神社にいそいだ。


しかし……。


やはり、気になる事にはそれなりの理由があったのだ。



……俺達がそれに気付くのは。



もう少し後の事だった。



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