†魔界戦記†

おかしいな・・・
術、失敗したかな??


「失礼にも程があるのぉ〜」


妖気を感じて
振り返るセイト。

するとどうだろう、
ベンチに座っている者と
全く同じ人物が
そこに立っているではないか。


「ど、どういう事だ!?」


「師匠に対して
その口の聞き方はのぉ〜
いかん、いかんのぉ」


喋り方に反して
その見た目は若く
誰が見ても20〜30位である。

セイトはそこにも
驚いていたのであった。


「クッ・・・
ど、どうして二人も
いるんですか?
・・・・・・師匠」


男はにこりと微笑むと
腰から種を取り出す。


「これは月桂樹の種
月桂樹は葉に
呪いを打ち消す力が
秘められている・・・が
月桂樹自体は見るものに
幻覚を見せ、
捕まえて養分にする
恐ろしい樹なのだ」


もう一度ベンチに目をやると
そこに男の姿は無く
変わりに人の顔のような
模様のある樹が
ベンチに根を張っていた。


「ワシが来なければ
危なかったのぉ〜」


その笑顔にセイトは
ゾッとせずには
いられなかった。

下手をしたら死んでいた
樹の養分となって。


「これが、戦いで
生き残るってコトだのぉ」


男が言葉を継ぐ。


「ワシの名前はサキエル
セイト・・・君の師事を
命じられた天使だ
宜しくのぉ〜」


クセなのかどうなのか
分からないが
フン、と鼻をならし


「いいだろう・・・
かかってきなよ!!」


と吠えるセイト。

その後サキエルに
殴られたのは
言うまでもないコトだが。
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