図書室から始まる彼女の初恋


「ごめんね、
遅くなっちゃって♪」

いつもの調子で
燐と啓が帰って来た。

「燐ー…っ」

私は無理矢理燐に
引っ付く。

燐と別れる手もあるけど
別れちゃったらもうこの四人と元通りになれないかもしれないから。

だから今はこうしてるよ。

「甘えん坊、桃奈たん、
どうしましたー?」

ねえ…

よくわからないけど
燐は啓と私のために
私と付き合ってるんでしょ?

どうしてそこまで
演技ができるの?

どうしてそこまで
友達のことを想えるの…?

凄いね。

本当、
容姿も中身も良い
男の子だね…。

「ちょっと気分悪くて…
送ってもらって良い?」

今日はこれ以上
ここに居られない。

啓のことを
考えないためにも。

「生理ー?送ってくよっ。」

「ごめん、皆又学校でねっ!」

最後に啓を見ると
哀しげに笑っていて
胸が締め付けられた。
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