君がここに居たこと~初恋の奇跡~
────────────ブツッ
そこで、電話は切れて
建物の壁に背中を預ける”彼”の
目の前で呆けていた。
「 ・・・・・・あ、き? 」
すぐそこはカップルや家族、
人で賑わっているのに
1本道を入れば確かに静かで。
あの写真と同じ、”彼”が
ふっ、と小さく笑った気がした。
「 ─────────繭 」
静かで、暗い道に響いた低い声。
今さっきまで電話から聞こえていた
1年前からずっと聞いていた声。