君がここに居たこと~初恋の奇跡~
きっと、俺たちを知っている
誰もが”もうそろそろだ”と
思っているだろう。
「 繭、行こうか? 」
「 ねぇ、あき。
少しだけ街を歩こう? 」
「 ああ、イルミネーション?
いいよ、行こうか 」
誰にも内緒で、俺は繭の家に
挨拶をしに行った。
この日のことを話したのは
繭の親御さんと、自分の親だけだ。
コートのポケットに入れた
指輪にそっと触れて、頬が緩むのを
ぐっと抑えて繭の手に触れれば
自然と指が絡まってきた。
「 綺麗・・・ 」
見たことがない、というわけではない。
イルミネーションは綺麗だと
今までにも何度も思ってきた。
だけど、この日は特別綺麗に見えた。
繭の記憶に”今日”が焼きつくように
綺麗なところばかり連れて行きたい。
絶対に、忘れられないように。
「 繭、手が冷えてきてるよ 」
「 もう少し見たい・・・ 」
「 風邪引いちゃうから
また今度2人で来よう? 」