とある東中学校

登校拒否少女

学校。
それは地獄的な奈落的な施設。

皆も一回は
『くそ。潰れればいいのに。』とか
『行きたくねぇ。』とか
『休みたいなー。』とか
思った事があるんだろうなー。


俺はあるよ
あぁ、今思ってる。
というか去年からずっと。

「なぁ、なぁ
 アーテ? もう8時半きよるよ?」

「え、8時半? マジか」

「なぁ、なぁ
 はよ急ごうで」

「嫌だな、面倒くさい
 もう遅れてんだから
 授業に遅れてもよくね?」

「うーん。
 そやなww」

今俺と話してるのは
弟の冬夜(中1)。

登下校をいつも?一緒にしてくれる
唯一の相棒。

ちなみに
さっき冬夜が言っていたアーテとは、
お母さんの生まれ育った国の言葉で
『お姉ちゃん』という意味らしい。

お母さんの家から
日本に帰ってくる頃にはもう、
『お姉ちゃん』と呼ばれていたのが
『アーテ』になっていた。

「初対面の人に聞かれると
 めっちゃ不思議がられるんだよな」

「え? なにが?」

「いや、別に」

まぁ、今更
『お姉ちゃん』とか
呼ばれても気持ち悪いだけだから
直せとは言わないよ、うん。

「なぁ、走るか?」

「えー。 やっぱ走るんやんw
 ええよ?
 ほんだら、はよ走ってよ?」

「はは。
 忘れたか?
 俺はお前より走るのはえーよ」

「知っとるしww」

「よし、ほんだら、せーのっ」

俺等が学校に着いた時刻は
8時27分であった。

(元)登校拒否少女は
遅刻しつつも毎日学校へ通うのだった。
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