最初で最後の恋文
「ちょっと待ってよ!!いい案だと思わない??」

真琴は急いで五人の近くまで走っていくと五人に向かって言った。

「あのなぁ~。佐伯が参加すると思うか?あのサボリ魔の佐伯が!!何に関しても興味を持たない佐伯遥斗が!!」

竜也は真琴の目の前に立ち、真琴を見下ろしながら言った。
真琴は竜也の言葉を聞いて、頬を膨らましたが、すぐに竜也に潰された。

「竜也に一票!!」

茜が手を挙げて言った。

「だよな。佐伯が参加するわけねぇよ。」

「真琴、誘うだけ無駄だよ。」

大輝も奈々子も次々に真琴の提案に反対した。

「それに、あたし佐伯君としゃべったことないし、苦手だなぁ~。」

奈々子がため息混じりに呟いた。

「真琴が誘って、佐伯君が参加するって言ったらいいわよ。」

さっきからずっと黙っていた香里が真琴の隣まで歩いてきて言った。
香里の言葉に真琴以外の一同が、えっ!っという顔になり、真琴は香里に向き合うと、

「本当に?佐伯君が一緒にしたいって言ったらいい?」

「ええ。」

香里は真琴の顔を見ながら微笑みながら言った。

「よしっ!絶対に佐伯遥斗を入れてみせる!!」

真琴は香里の言葉に一気に気合が入った。

「おいっ、香里。そんなこと言ったって佐伯が参加するわけねぇだろ?」

大輝が気合を入れている真琴をチラッと見ると香里に耳打ちしてきた。

「あら、わからないわよ。それに真琴なら本当に佐伯君を誘ってきそうじゃない??」

香里は真琴の後ろ姿を見ながら微笑んだ。
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