とある真夏の物語【完】


『ふふ、今日は、真夏さまがいらっしゃってるというコトでコックたちも腕によりをかけて作るって張り切っていましたから、きっとすごくおいしいですよ』




ニコニコと笑顔を崩さず、上品な笑みを浮かべるシュカさん。




『ほ、本当ですか!嬉しいな…』



私は、シュカさんにそう言って微笑みかけた。




『……それにしても…リュウ様は、何でそんなにさっきから不機嫌なんですか?』





ギクッ




どうやらシュカさんも私とリュウの間のビミョーな空気に気付いていたらしい。



さっきまでとは、打って変わって訝しげにリュウを見つめた。




『…別に』



ポソリと呟いたリュウは、あきらかにご機嫌斜めだ。



『…いや、あの…だ、大丈夫ですよ…特になんにもないんで』



あわててフォローに入る私にシュカさんは、




『真夏さまは、ちょっと黙っていただけませんか…?』



一言そう言い放つ。




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