Deep sea Girl
涙は枯れる


ピピピピピピ-…

無機質に鳴るアラーム音がみみにつく。私は乱暴にアラームを止めて重い体を無理やり動かしてベッドから這い上がった。

「…ふぁあ」

昨日の夜はドキドキしすぎて寝たのは2時ぐらいだったはず。仕方ないよ!!愁ちゃんがあんなこと言うんだもん!!

そう思いながら私は颯爽と制服に着替えてドタドタと足音を立てながら階段を駆け下りる。

キッチンに行けば母さんがテレビを見ながら私に牛乳の入ったコップを渡してきた。ちなみにこのコップは愁ちゃんからホワイトデーのお返しで貰ったやつだ。

「…ふへへ、」

少しにやけながらもテレビのニュースを見ながらコップに口付けようとしたら。

『ニュースです、東京都〇×市〇〇町で通り魔がありました。犯行時刻は7時ぐらいで…――』

「ここらへんじゃん」
「物騒ね、最近は」
「うん」

くいつくように画面をぼんやりと見つめれば。



『被害者は17歳〇〇高校の白石愁也さん…ー』












ー…ガシャーン





牛乳が入ったままコップ地面に落ちる。無惨に割れたコップの破片が飛んで私の足を掠ってそこからはつぅと血が流れる。牛乳が飛沫をあげて足に散らばれば、ぽたりと流れる血液の赤が牛乳の白と混じあわさって気持ち悪い色に変わった。

頭の中は真っ白だ。
回っているようで回っていない頭。おかしいな、

母さんが顔面蒼白になりながら私を黙って見つめた。それと同時に電話から無機質な音が流れた。
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