SD殺人事件
どうなってんの?
みんながモニターを眺め始めた頃、
「支配人を病院に連れて行って来るから。山本班長、まだ警察を呼んだらあかんよ。」

そう言って会計が支配人をかついで出て行った。
「もう警察呼ぼーな…。」
「ちょっと待って。」
地ー坊が弱々しく言ったのを無表情に信くんがなだめた。
誰かが休憩所に入って来たら早送りせずにモニターを見て、誰もいない時、磯俣のタバコに手を伸ばしても届かない所に座った時は早送りする。
そんな感じでモニターを見ていた。
「てか、磯俣が10時の休憩で新しいタバコ開けよったから、カメラ見れば良い時間帯がわかったけど、もし遅番始まってから終わるまで見なあかんってなったらめっちゃ時間かかったやろなぁ。」
カメラ確認しだして10分ぐらい過ぎた頃、太ちゃんが少しダルそうに言った。
「ほんまやなぁ。」
俺が返すと、
「磯俣くん、なんであんな時間に新しいタバコをわざわざポケットから出さはったんやろ?」
金谷が真剣に話す時のトーンで言った。
確かに不自然だ。
「あ、アイツ急に残ってもらったせいでタバコなかったみたいやし、俺が買ってきてやってん。」
そう言って信くんがタバコに火をつけた。
「そうなんや。」
地ー坊がそう言いながらキョロキョロしてた。
「地ーちゃん、どーしたん?」
その異変に気付き生駒さんが言うと、
「ウチもタバコ吸いたいけどやっぱやめとく。」
地ー坊がため息まじりに答えた。
「これ使ってから吸えばいいやん。」
高くんが毒物検知機を自分のタバコに近付け反応しない事を確認してから地ー坊にタバコを手渡した。
と同時に喫煙者達はタバコを吸い出した。
「誰も磯俣のタバコに触ってないやん!毒塗りようがないしな!」
太ちゃんが興奮気味に言った。
みんなで磯俣が新しいタバコを開けてから事件が起るまでをカメラ確認した。
が、その間にタバコに触れたのは磯俣だけだった。

「どうなってんの?」
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