Material Boy
遥火は、美術館型カフェが着工され、

寝る暇もないくらい忙しいらしい。

隣の部屋は、いつも留守で、

野乃の心はポッカリと穴があいてしまったようだった。


「今日も遅いのかなあ。」


二人分の夕食を作ってみたりして、

待つのは何度目だろう。


「会いたいなあ。」


一人分の夕食だけ食べ、一

人分はラップをして冷蔵庫にしまう。


「明日の朝食にならないといいんだけど…」


遥火が隣に暮らすようになってから、

一年と3ヶ月。

時間が合えばどちらかの部屋で過ごす。

そんな生活に慣れてしまった。


はあぁ


大きなため息をついた。


(こんなに誰かに依存してしまうなんて、

 馬鹿だなあしっかりしろ野乃!)


一人で、いることになんて

なれていたはずなのに…

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