うさぎ と くま の物語 (完)
 

「……柔道部のマネージャーになった大きなきっかけは、梨乃センパイに誘われたことです…ね。副部長もその時いたんですよ?覚えてないかもしれないですけど」


「―――あぁ、いや、覚えてるよ。やっぱりあの時、梨乃に引きずり込まれたってことか。あいつ、強引だからな」


篠田センパイは苦笑いする。


あの時のこと、覚えてるんだ…!


私にとって、全ての始まりの日。


同じ記憶を共有してるなんて…嬉しい…!


「あっでも!最終的には、やってみたいって思って自分で決めたんです」


「うん」


「それに…きっかけは何であれ、私、柔道部が本当に好きなんです!みんな一生懸命だし、頑張ってる姿見たら、私もみんなのために何かしてあげたいって思うから。まだまだ梨乃センパイには敵いませんけどね」


日に日に強くなる気持ち。


頑張ってるみんなのために、私ができることをしてあげたい。


どんなに小さなことだとしても。


少しでも、練習の辛さとか大変さとか、吹っ飛べばいいなって。


…………その裏には下心もあるけど…。


篠田センパイの近くにいれる場所はココだから。


でも…これは、ナイショ。

 
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