うさぎ と くま の物語 (完)
「今…………」
「………?」
何?
何?
きょとんとする私の目の前に、にょきっと篠田センパイの長身が立ち上がった。
「――――ちょっと、外行こ」
「えっ?えぇっ!?」
篠田センパイは私の手を握って、入り口に向かって歩き出す。
な、なにこれーっ!?
ていうか、みんな、こっち見てますけども!
わけのわかっていない私のことを、ニヤニヤと見てる柔道部のみんな。
何人かは、頑張れ!と口を動かしたり、拳を握ってガッツポーズをしてたり、と…
えっ、何!?
頑張るって?
ガッツポーズって?
みんなの方が状況がわかってるみたいなんですけど…!?
誰か、状況説明を…!
………と思っても。
もちろん、その願いは通じることはなく…。
篠田センパイと私は二人、部屋の外に出た。