こんなかたちではじまる恋
しばらく無言で歩いた。
綾野は黙ってあたしに腕を引っ張られながらついてきてくれた。



もう彼からあたしの姿は見えなくなったであろう頃にあたしは足を止めた。



「あわせてくれてありがとう」



そう言って絡めた腕をそっとはずした。



「あれが、振られた彼。」



誰かなんて綾野は聞いてないのにあたしは話した。
黙ったら絶対泣いてしまうから。


「なんとなく、想像ついた」

「…そっか!ダサいとこみせちゃったね」



あたしは一生懸命笑って見せる。
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