冬の花
「ごめんね。」
水でびちょびちょの髪や制服を
ハンカチで拭きながら
涙目で俯く美咲
「ううん。助けてくれて
ありがとう。」
この言葉がまた美咲を泣かせた
ごめんね
ありがとう
私の変わりに美咲が泣いてくれたように
私の涙はもう止まっていた
ふと周りを見ると桜木くんがいない
怖いけどやっぱお礼を言いたかったのに
美咲を抱きしめながら
少しだけため息をついてみる
ぽふっ
背からタオルが降ってきた