HAPPY CLOVER 1-好きになる理由-
 俺はその晩、布団に入ってもすぐに眠れずとりとめもなく考え事をしていた。

 もしかすると俺は舞に対する認識を誤っていたのか、と思い始める。そう考え始めるとおかしなもので、誰もが舞の魅力に気が付いているのではないかと急に不安な気持ちに襲われた。



 ――こりゃ、のんびりしてられないかもな……。



 もう一つ、焦る理由に心当たりがある。

 ハプニングとはいえ、舞を抱きとめてしまったことだ。自分よりも小さくて柔らかくて頼りない不思議な感覚。

 ガッツクつもりはないけど俺も男だからね。困ったことにあまり長くは我慢できない仕様だったりする。

 でもホント、通りかかったのが俺でよかった。きっと舞もそろそろ俺を意識し始めただろう。そう思うと、ニヤニヤと笑いがこみ上げてくる。

 それにしても俺の勇気ある告白(もどき)を全く聞いていないとは舞もどういう神経をしているんだか……。



 こうして俺は明日からの計画を練り直しながら、いつの間にか眠りについたのだった。
< 133 / 164 >

この作品をシェア

pagetop