HAPPY CLOVER 1-好きになる理由-
「高橋さんってやっぱり変わってるね」

 その言葉は少なからず私の心に衝撃を与えた。事実だけど改めて言われたくなかった。

「あ、悪い意味じゃなくて」

 清水くんは慌てて付け足した。私は悔しい思いが込み上げてくるのをこらえるので精一杯だった。

「普通は『そんな男はイヤ』って思うからさ。俺だって自分の好きな人がそんなだったらやっぱり嫌だし」

 へぇ……。

 私は何だか意外な気がして思わず清水くんの顔を見てしまった。

「今、意外だと思ったでしょ? 俺は独占欲が強いよ」

「そうなんだ」

 私ってそんなに感情がわかりやすく出るんだろうか。どうも心を読まれているようで困る。

「私は……経験がないから、本当はよくわからない」

 正直な気持ちを言った。なぜだかわからないけど。

「でも好きな人くらいいたでしょ?」

 自分の過去を思い返してみると、幼稚園や小学生のときに何となく「お気に入り」の男の子はいたが、その後は誰かを異性として好きになることはなかった。

「……考えてみれば、いない……かも」

「ええ!?」

 清水くんは本気で驚いたようだ。でも本当のことだった。

「……変、かな?」

 私はやっぱり自分が変なのかと思う。確かに周りの男子も女子も「恋」に忙しい。高校生になれば恋の一つや二つを経験するのが普通なのだろうか。その基準で考えると私は自分がオコサマなのを認めざるを得ない。

「変じゃないよ」
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