HAPPY CLOVER 1-好きになる理由-
「舞ちゃん、好きな人できた?」

「す、好きな人なんてできてないよ!」

 私は突然の問いかけに驚いてカミカミになってしまった。姉はニコニコしながらベッドサイドに戻ってくる。

「ママに聞いたよ。隣の席の男の子なんでしょ?」

 ……余計なことをペラペラと!

 でも私はもうこれ以上は否定できなかった。

「どんな人なの?」

 清水くんのことを思い浮かべる。それだけで心臓がドキドキとうるさく動き始める。たぶんまた熱が2、3度上がっただろう。

「それが……学年で一番頭良くて、カッコいいって言われてる人……」

 姉はふむふむと頷いた。

「で、どんな人?」

 ……いや、だから! ともう一度同じセリフを繰り返そうとしたが、私はふと気が付いた。

 確かに清水くんは学年で一番成績が良く、カッコいいと言われているが、それは彼の一面であって彼の性質ではないのだ。姉は彼の表面的な評価を聞きたかったわけではないらしい。

 私は一生懸命言葉を探した。清水くんを説明する言葉を……

「……いい匂いがする」

「へ?」

 姉は素っ頓狂な声を上げた。それはそうだろう。でも仕方ない。今すぐ浮かぶのはそれだけなのだ。
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