HAPPY CLOVER 1-好きになる理由-
 その日の午後の授業はぼんやりとやり過ごした。時折隣の席をチェックしてみる。眠ってはいない様子だ。

 面食いにつまみ食い……。

 私の頭の中ではその二つの言葉が数珠つなぎになってぐるぐると回っている。

 思えば今日は朝からアップダウンの激しい一日だった。心がぽーんと高く投げ上げられたかと思うと、そのまま何にも誰にも受け止められることなく、勢いよく地面にズボッとめり込んでしまったような感覚だ。

 誰かこのかわいそうな私の心を拾い上げて、ぽんぽんと土埃も払って、ついでに元の場所に戻してくれないだろうか。

 こんなに心が揺れていると何も手につかない。これじゃ来週の期末テストは昨日の数学のテストの二の舞になりそうだ。

 私の名前も舞。……全然関係ないけれども!
< 73 / 164 >

この作品をシェア

pagetop