Steady
一通の手紙
年を追うごとに

桜の開花が早まっているのは

気のせいだろうか。


まだ3月中旬を過ぎた辺りなのに、

街に咲く桜は

もうすぐ満開になろうとしている。


小学生の頃は

ちょうど入学式頃、

満開に咲き誇っていたはずだ。


ほのかに甘い、

鼻の先をちょこっと

くすぐる桜の香り。


私、

草壁彩加(くさかべ あやか)は

ほんの少しだけ

大きく息を吸い込んで、

そのとても淡い香りを

身体の中に注ぎ込む。


「もう、春かぁ。

 1年が経つのって、本当早いな」


小さな声で呟き、

ぼうっと桜を眺める。




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