Steady
そんな私の性格を

敦は覚えていてくれていた。


じゃあ、なんで―――


卒業式の“あの言葉”を

敦は覚えていないのだろう。


「これは覚えてるのに、

 なんで“あの言葉”は

 忘れちゃったの?」


「“あの言葉”?」


「『大人になったら、

 また会おうね』って……」


ベッドに刻んだ傷なんて

些細なことをしっかり覚えているのに、

なんでこの約束だけは

記憶にないのだろう。


敦は私をじっと見つめて

こう口にした。


「あれは、俺が

 ドキドキしてなかったから」


その言葉とほぼ同時に、

キッチンから私たちを呼ぶ

母親の声が聞こえてきた。




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