Steady
「あんまり

 期待してなかったけど、

 結構面白かったなー」


清々しい顔をして言う敦に

私はほんの少しだけ頭を動かす。


映画なんて、正直、

今の私にはどうでもよかった。


数日前、

突然家に遊びに来た時には

敦への警戒心も

少し和らいだと感じていたのに、

今日2人で過ごしてみて

再会した時以上に

敦への不信感が

膨れ上がってしまった。


敦の本当の姿は

一体どれなのだろうか。


一度その不信感を抱えてしまうと、

もう自然に振舞うことなど

出来ない。


「なんだよ、彩加。

 返事くらいしろよ」


そう言って私の肩を抱こうと

手を伸ばす。


しかし、私は伸ばした手を

避けるように身体を傾けた。





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