御曹司なんてお断りっ◆
志保の笑顔に
嫌されながら、俺も思わずにっこりする。
「あぁ。志保、そういえば
携帯電話ーー」
「あぁ。建志がーー兄が、届けてくれたんです。
電話をいただいたようで、
兄がまた失礼なことを言ったみたいで…」
すいません。
といって志保は頭を下げた。
いやいや、
失礼なことは言われていないと思うが・・・
いや、失礼なこと言われたか?
まぁ
気になることは言われた。
「志保。今夜の予定は?
--なんとか課長とデートって言われたんだけど。」
「あぁ、ソレは断りました。」
「え??」
あっさり言われて、
俺の肩の力が抜ける。
「はぁーー。よかったー。」
「よかったって…」
「だって、焦るだろ?
好きな子が上司にアプローチされてるって知ったら
そりゃ、必死で走ってくるよ」
俺は、ため息をついてから、
志保を見つめた。
「・・・!??」
志保は、びっくりしたように目を見開いて
ほほを赤くした。
え?俺、また変なこと言っただろうか?
「どうした?」
「あのっ。そ・・・の」
志保がこんなに動揺するって珍しいな。