僕がもらった神恋
ベッドのに仰向けで転がり、
天を見たままボーっと
一点を見つめる戸山。

何もしゃべらず、動きもしない、
ただ天を見つめてる。



「あんたの中から博己の記憶は
すべて消させてもらう、
おまえなんかに憶えられてても
嬉しくもなんともないからな。

二度とあんたに関ることはないやろう、
関る価値もない。

これからの自分の人生、
よう考えて生きや。」


そう言って愛梨は、
仰向けに倒れたままの
戸山を睨みつけ、部屋から出て行った。



愛梨は、戸山の記憶から
博己と知里の記憶をすべて消し去った。


そして一からやり直せるようにと、
会社での記憶も一部消し去った。

記憶を無くした戸山が
これからどう生きていくのか、
それは自分次第。

無くされた記憶に困ることもあるだろう、
でもそれは博己への償い、
その意味を込めて愛梨は
戸山の記憶を消し去った。


< 145 / 258 >

この作品をシェア

pagetop