初恋は実らない
ある日の部活帰り

「実咲、一緒に帰ろ?」と淳ペーに声を掛けられた。

いつの間にか『松永』から『実咲』と呼ばれるようになっていた私。


とぼとぼ歩く私の横で、淳ペーがつぶやいた。

「なぁ~、なんで女ってあんなに面倒なん?」

うんざりした口調だった。


女が面倒臭い?

あのー、これでも私 一応女なんですケド!!


「俺さ~、ちゃんと最初に言ってんねんで?
『今はバレーに必死やから、二の次になるけどええのん?』って。
みんな最初は『構いません!』って言うのに、なんでやのん?
ホンマ、女って分からへんわー」

「欲が出て来るんでしょ?
彼氏になったら独占したくなるんじゃないの?」

「せやから、はじめに言うてんのに…。
なんか俺が悪者みたいやん?」

「言いたい子には言わせとけばいいんじゃないの?
それか、最初にハッキリ断るか。
どっちかしかないよ?」

「ん――」

一瞬、考え込んでしまった淳ペー。

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