初恋は実らない


「高橋が退部した」


顧問からそう聞いたのは、淳ペーと話をしてから随分経ってからの事だった。


「どうしてですか?」

反射的に訊いたのは仕方ないと思いたい。


「怪我の治りが悪いんだとさ。 練習に出れず名前だけ残しておくのは気が引けたんじゃないか?」


長々と休部すると、次に来るのは敷居が高いかもなぁ。
そんな風に顧問は淡々と話した。



淳ペーは今まで以上に、部活と勉強に励んでいた。
その隣に雅也くんが並ぶ事はもうない。


それでも淳ペーの周りにはいつも人垣が出来て・・・。
アイツが常に話題の中心にいるのが分かった。

隣に並ぶ女の子はいない。
でも・・・
淳ペーには好きな子がいる。

私はただ眺めているしか出来なかった。

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