鈴姫
城の門の前まで来たところで、灰色の着物を着た男が転がるように脇から飛び出てきた。
「珀伶様!」
「藤松」
灰色の着物を着た男は藤松といい、珀伶の一番の付き人だった。
その役目を賜る人物だけが着ることのできる、白に近い灰色の着物がそのあかしだ。
「どこに行っておられたのですか!わたくしはあちこち探しまわって――」
そこで、藤松は珀伶の前に座っている香蘭に目をとめた。
香蘭はもう具合の悪い振りをしてはおらず、じっと藤松を見つめた。