花恋-はなこい-
「せっかく久し振りに

 一緒に帰るんだし、

 ちょっとだけ

 寄り道していかない?」


今日の授業を全て終え、

真由は帰り支度をしながら

杏奈の言葉に耳を傾ける。


高校に入学してからというもの、

真由はほとんど毎日

圭輔と一緒に登下校

しているせいか、

今日の杏奈は

やたら張り切っているように見える。


真由を見つめる目が

キラキラと輝いている。


支度が整いバッグを肩に掛けながら、

真由は杏奈を見ながらこくんと頷く。


このまま真っ直ぐ家に帰っても、

きっと圭輔の言葉を考えて

気が沈んでしまいそうだ。


「そうこなくっちゃ」


杏奈はとびきりの笑顔を振りまくと、

真由の腕をがっしりと掴み走り出した。




< 17 / 306 >

この作品をシェア

pagetop