花恋-はなこい-
いつもより重く感じる

玄関を開けると、

真由は何も言わずに

そのまま部屋へとこもった。


「真由? 帰ったの?」


リビングから聞こえてくる

母親の声。


今は優しいその声に

こたえる元気もない。


ショッピングモールから出た

真由は泣きながら、

「ごめん。

 やっぱり、私、帰るね」

と杏奈に告げ

逃げるように帰ってきた。


杏奈は「分かった」とだけこたえ、

戸惑いを隠しきれない

表情のまま真由に手を振った。


杏奈には悪いとは思ったが、

これ以上、

圭輔とあの女の子が

一緒にいるところを見たくなかった。




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