花恋-はなこい-
目の前に圭輔の姿があった。


いつもと変わらず

出入口の壁に

もたれかかるように立っている。


「け、けいくん……」


真由の頭の中に

昨日の光景が浮かび、

挨拶も上手く出来ない。


「おはよ、真由」


圭輔はいつもと変わらず

優しく声を掛けてくれる。


それが真由の心をずきんとさせた。


圭輔は真由の頭を

優しくぽんと叩くと、

ゆっくりと歩き始めた。


真由も少し後ろについて歩き始める。


とても大切で嬉しい時間なのに、

今の真由にはなんだか

心の奥底がうずく。



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