パラサイト ラブ
愛の槍

実家から帰る車の中、朝乃は大分疲れたのか助手席のシートに深く体を沈めて、ぼんやりと窓の方を向いていた。



「――朝乃、色々気を遣って疲れただろ。着くまで寝てていいよ」


「………………」


「…朝乃?」



……返事がない。



赤信号で止まったときにその表情を確認しようと助手席の方を向くと、今にもこぼれそうな涙を浮かべる朝乃の横顔があった。



「………!どうした?やっぱり無理してたのか?それとも俺の居ないところで家族に何か言われた?」



実家に居るあいだ朝乃のことは充分注意していたはずだけど、俺の目の届かないところで何かあったのかと急に不安になる。



「………なんなの」


「え………?」


「ハナさんって……なんなの?」

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