パラサイト ラブ

俺はシートベルトを締め直して、車を発車させながら訊いた。



「……俺と別れるつもりなの？」



あからさまに苛つきを滲ませて、アクセルを強く踏み込む。




「……………ん」




小さく、でも確かに頷いた朝乃が、目の端に映った。


そんなの、許さない。

許すわけがないだろう。



俺は奥歯をぎり、と噛みしめて家路を急いだ。



早く帰って朝乃を抱きたかった。



二度と、そんなことが言えないように、壊れてもいいから、めちゃくちゃにしてやろうと思った。



やっぱりどこかに閉じこめておくべきなのかもしれない。


あのムカつく朝乃の前の恋人や、うちの家族、それにハナ……


朝乃を悩ます全てのものから、彼女を遠ざけたいと思った。