しあわせおばけ

泣きそうな相沢を前に、俺はこれでいいんだと箸を取った。

紗希にはまだ話していないけど、これってやっぱり普通じゃないし、俺ひとりだけが抱えていたら、そのうち苦しくなるかもしれない。

俺には、相沢の理解が必要なんだ。



「今度の休み、家で待ってるから」

そう言うと、相沢は哀れみを含んだ目で俺を見た。

「…じゃあ、日曜に行くよ」



そんな目で見ないでくれ、と言ってもよかった。

でも今そう言ったところで何が変わるでもない。

とにかく週末だ。

週末になればわかるんだ。



それから俺たちは、ほとんど言葉を交わすことなく残りの飯をかきこみ、昼休みを終えた。




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