しあわせおばけ

「相沢、来たよ」

「そうみたいね。でも…行ってもいいの…?」



今になってタイミングを見計らったところで、さらにぎこちなくなるのは目に見えている。

それならいっそ、早めに登場してもらったほうが助かるというものだ。



「明日香も呼んでくるから、4人で顔を合わせよう」

「4人でなんて…だってあの子には私のこと…」

さっきのことを思い出したのか、妻の目にまたうっすら涙が浮かんだ。

「まあそう言うなよ、ちゃんと俺が間に入るから」

姿が見えなくたって、たしかにここに存在するんだ。

俺がそれをカレーコロッケという形で証明できれば、明日香もきっと喜んでくれる。



俺は渋る妻を無理やりリビングに向かわせ、明日香を呼びに行った。




< 149 / 221 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop