午前0時、夜空の下で
太陽を確認してはいるものの、進む方角が正しいかどうかなんてさっぱりわからない。

確実に分かることは一つ。

止まれば死ぬ。

あの男たちから逃げ出したときも、今も。

もしあの男たちに見つかるようなことがあれば、今度こそ心は殺されるだろう。

そして今立ち止まれば、森の獣たちに襲われるに違いない。

……何かがいるのだ、この森には。

歯を食い縛って、グッと地面を踏みしめる。

ぼんやりと視界が霞むたびに、頬を叩いて目を覚ました。

極度の疲れで全身が麻痺しているようだった。

ふらふらと彷徨う心の顔に、ポツリと水滴が落ちる。

――雨、だ。

ザァ……と降り始めたそれらを見つめて、心はゆっくりと意識を手放した。










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