午前0時、夜空の下で
美少女だ。

危うい美しさを纏った少女が、色鮮やかな衣装に身を包んで心を見つめていた。

赤銅色の髪に、翠玉を嵌め込んだかのような瞳。

桜色の頬に、小さな鼻。

シリアやメイジーなど、城にいた貴族の生まれである女官たちも美しかったが、目の前の少女は別格だった。

それこそ、カザリナに勝るとも劣らないほど。

こちらがじっくり見惚れていると、向こうもこちらを見ていたようで。

相手から感嘆のため息が漏れた。

「アンタ、親戚にどっかの国のお姫様おらん? その髪の色といい目の色といい……そんな黒に近い色、間近で見るのは初めて!! きれー……」

燦然と輝く美貌の少女が漏らした感嘆の溜息に、心の顔が引き攣った。


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