午前0時、夜空の下で
凛とした声。

きらりと光るモノクル。

その奥にある鋭い瞳に見据えられて、心は無意識に怯んだ。

中性的な美しさを持つその人は、淡々と心を見下している。

「あ、の? えっと……ココ、彼はキシナ。今日からアンタの守護人として働いてくれるわ」

ノーラは戸惑いつつも「自己紹介して?」とキシナに目を向けた。

「……キシナだ」

高くも低くもない声で、よろしくの一言もなく、ただ名前のみを無感動にボソリと呟いた。

「……だけ?」

アシャンの気まずそうな声を無視して、キシナはさっさと黎明館の中に入ってしまう。

「とりあえず、ココも早く休みなよ。今日はダンナ様が休みにしてくれたから」



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