午前0時、夜空の下で
「君たち。おとーさんはね、今おじーちゃんと大切な話を――」

「おい佐伯。天界に深雪の幼い頃の絵姿はないのか。さぞかし可愛らしかったに違いない」

「さあ、あるんじゃないですかね? 私は今さら戻るのも面倒なので人間界に居座るつもりですが、心ちゃんに頼めば天王経由で準備してくれるかもしれませんよ」

「……」

宗一郎たちが深雪の昔話に突入した頃になると、昴はもう諦めるしかなかった。

がっくりと肩を落として、未だ黙り込んでいる奈美を恐る恐る覗き込むと、彼女は声もなく泣いていた。

「奈美」

昴の声に、奈美はゆっくりと顔を上げる。

涙に濡れてはいるが、とても穏やかな表情だ。

「すばるくん、こころ、いきてた」

幼い子どものように、ぼろぼろと涙を落としながら、顔いっぱいに笑顔を広げる。
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