君がいた夏

決意と後悔 優陽side




菜穂ちゃんと別れて病室に向かう途中、桐が俺の前から歩いてきた。

相変わらず、かっこいいな。

そんな事を思っていたら、桐が俺の目の前で止まった。

「………桐?」
「…優陽、俺はお前に謝らなきゃいけない。……紀衣が苦しいときも、ずっとずっと、お前に任せて俺は逃げてきたこと……ほんとに悪かった………俺がお前を支えてたら、紀衣も支えてたら………こんなことにはならなかった………」

桐は俺に頭を下げる。

「………悪かった……」

俺は桐の肩をつかむ。

「桐、顔をあげてくれ………」

桐は少しためらいがちに顔をあげた。
俺は笑った。

「バカだな、お前は。………俺のそばにずっといて、紀衣のそばにいる必要はもうないと、忠告してくれてたじゃねーか。それを守らなかった俺が、悪い」

桐は何か言いたげに口を開いた、けど

「わざわざ、学校変えやがったのはどこのどいつだよ」

俺はニヤリと笑った。
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