君がいた夏



店からでて俺は携帯を取り出す。

「もしもし?明美か?」
『うん、どうしたの?お兄ちゃん変なことしなかった?』
「大丈夫だよ。それより、これから会えないか?明美の家の近くの公園で話したい」
『うん!会える!』

明るくなる明美の声に自然と笑顔になる

「…じゃ、またあとでな」

俺は電話をきって足早に公園を目指す。




公園につくとすでに明美がいた。

「悪い、待ったか?」
「ううん、平気」
「そっか」

俺は明美の横に腰かける

「お兄ちゃん、ほんとに大丈夫だった?変なことしてそう……お父さんみたいなことしてたでしょ?」

明美の問いに思わず吹き出す。

「あー、うん。確かに」
「ほらー…もう恥ずかしい……」

明美は頭を抱える
でも、口元は笑っていたからきっと嫌な訳じゃないんだろう。

「………でも、それだけ、大事に思ってるんだろうな……兄貴に嫉妬しそうだわ」

俺は少し笑いながらそう言った。

「お兄ちゃんに?」
「うん、しそうだよ」
「あはは、そっか!」

無邪気に笑う明美。
少し暗い公園で街灯に照らされた明美の横顔に
思わず俺は頬に手をそえる

「……あ、歩?」
「………明美、俺はお前を誰よりも大事にする」
「っ……………」

明美の顔がこちらを向く

「……もちろん、明美の兄貴よりもな?」
「ふふ………うん」

少し明美の頬が赤くなる

「……ずっと、好きでいる……どんなことがあっても、辛くても悲しくても、明美のそばにいる」
「……うん」
「……………だから、明美が辛いときとか、いつもみたく気をはって疲れてるときは俺に頼ってほしい…」

明美が俺の頬にある手に自分の手を重ねる

「……っ……ありがとう……歩」

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