君がいた夏

不安




「暑いーーー」

朝、いつものように明美と登校する。
明美は手で顔をあおいでる

「…無理……菜穂、さぼろ」
「えー?………歩に会えないよ?」
「うっ……」

私はニヤリと笑う。

明美と歩が付き合いはじめてから
こういうことが多くなった気がする。

学校では四人で過ごすことも増えた。

「そういえばね、紀衣さんと桐さん付き合い始めたらしいの」
「…え?!」

明美は目を見開いた。

「私も、こないだ聞いて驚いた。春の終わりごろからだってー…先輩、忘れてたとか言って笑ってた」
「相変わらずね」
「うん」

紀衣さんが、桐さんを好きなのかなって思ったのは
私たちとの事がおさまって、しばらくしてからだ。

たまに、二人で自転車にのって登校してるのを見て
その後ろにいる紀衣さんがとても嬉しそうだった

「……まぁ、桐さんがっていうのは意外だった」
「うん……でも、先輩が桐の方が分かりやすいだろって言ってた」
「男の気持ちは分からない」
「うん」

私たちは顔を見合わせて笑った。

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